CROWNⅡ Reading1
クラウンⅡ Reading1
The Bike ─自転車─
お父さんは僕に自転車を買いたがらなかった。子供はとても不注意だから怪我するんだといつもこぼしてばかりいた。僕はすごい注意しているよ、といつも言っていた。それから泣いた。それから家出してやると言った。ついにお父さんは算数のテストで10番以内に入ったら自転車を買ってやると言った。
それで昨日、僕はとても上機嫌で家に帰った。テストで10番だったから。お父さんはこれを聞くと驚いた顔をして「え、何だって!」と言い、お母さんは僕にハグして、お父さんはすぐに行って自転車を買ってきてくれるわよ、と言った。実際、僕は本当についていた。なにしろテストを受けたのはたったの11人だけで、クラスの残りのみんなは風邪で休んでいて、11番目はマシューだったんだけど、彼はどのみちいつも最下位なのだ。
今日家に帰ると、お母さんとお父さんが満面の笑みを浮かべて待っていた。
「ニコラス、びっくりするものがあるわよ!」お母さんが言い、お父さんは外に行って戻ってきたんだけど、何を持って来たと思う?自転車!僕はお母さんにかけよってハグし、お父さんにハグし、自転車にハグした。
「気を付けるって約束するな?」お父さんが言った。僕は約束し、お母さんがまた僕をハグし、おやつにチョコレートケーキを作ってあげると言って中に入っていった。
お父さんは僕と一緒に庭にいた。「俺が以前自転車のチャンピオンだったってこと知っていたか?」彼が聞いた。実のところ僕は知らなかった。サッカーとか水泳とかボクシングのチャンピオンだったということは知っていたが、自転車のほうは初耳だった。「ほら、見ていろよ。」お父さんはそう言って彼は僕の自転車に乗り、庭を走り始めた。もちろん自転車はお父さんには小さすぎて、ひざが顔のそばまできていて困ったことになっていたが、彼は何とか走った。
「今まで見たもっとも奇妙な光景の一つだ。」庭のフェンス越しに覗きながらビリングズさんが言った。ビリングズさんはご近所さんで彼とお父さんはいがみ合っていた。
「黙れ。」お父さんが言った。「自転車のイロハも知らんくせに!」
「は?俺がか?」ビリングズさんが言った。「俺は高校チャンピオンだぞ。もし妻に出会わなかったらプロに転向していただろう。」
「あんたがプロ?」お父さんが言った。「ろくすっぽ乗れやせんくせに!」
「見せてやる!」ビリングズさんは言ってフェンスを飛び越えてきた。「その自転車を貸してみろ。」ハンドルバーをつかみながら言ったが、お父さんは手を放さなかった。
「誰も誘っていないって、ビリングズさんよ。」お父さんが言った
「子供の前でかっこ悪い目に合わされるのが怖いんだろう?」ビリングズさんが言った。
「黙れ!」お父さんは言うと、ビリングズさんの手から奪うとまた庭を走り回り始めた。
僕はお父さんの後を追いかけて、自転車に乗っていいか聞いた。でもビリングズさんがお父さんを見ながら大笑いするのでお父さんは聞いていなくて、花に倒れこんだ。「何でそんなバカみたいに笑うんだ?」お父さんが言った。
「笑いたいから笑っているんだ。」ビリングさんは言った。
「気でも違ったか!」お父さんが言った。
ビリングズさんが言った。「考えがある。ブロックの周りを競争してどっちが速いか確かめよう!」
「絶対イヤだね。」お父さんが言った。
「怖気づいたか?」ビリングズさんが言った。
「怖気づいた?俺が?」お父さんが言った。「見せてやる!」そしてお父さんは自転車を引いて道路へと出て行った。僕はもういい加減うんざりし始めていた。僕は自分の新しい自転車にまだ一回も乗っていないのだ!
「いいだろう。」お父さんが言った。一人ひとりブロックを周って時間を計って、勝ったほうがチャンピオンだ。俺に言わせれば形だけのものだ。勝者はすでに分かりきっている。」
「負けを認めてくれるなんてうれしいね。」ビリングズさんが言った。
「僕はどうすれば?」僕は聞いた。
「お前か?」お父さんが言った。「お前は、そうだな、タイムを計っておれ。ビリングズさんが時計を貸してくれるから。」しかしビリングさんは子供はいつもものを壊してばかりいるといって僕に時計を貸したがらなかった。それでお父さんはなんてせこいやつだと言って自分の時計を僕に持たせた。
ビリングズさんが第一走者だった。彼は実はかなり太めだったので自転車がほとんど見えなかった。彼はあまり速くもなく、コーナーを曲がると姿が見えなくなった。彼が戻ってくるのを見たとき、彼は顔を真っ赤にして舌をだらりと垂らし、ジグザグに走っていた。
「さあ、どれくらいだ?」彼が聞いた。
「9分とそれから秒針が5と6の間。」僕は言った。お父さんは大笑いした。
「これじゃ、」彼が言った。「ツールドフランスを走るのにまる半年かかるな!」
「つまらん冗談言ってないでせいぜいがんばったらどうだ?」ビリングズさんが言ったが、彼は息が苦しそうだった。お父さんが自転車に乗ってスタートした。
僕たちは待った。僕は時計を見ていた。お父さんには勝ってほしかったけれど、時計の針は回り続け、9分経ちもう少しで10分だった。「勝った。俺がチャンピオンだ。」ビリングズさんが叫んだ。」
15分後、まだお父さんが戻ってくる様子はなかった。
「変だ。」ビリングズさんが言った。「どうやら何が起こったのか見に行くべきだな。」そのときお父さんがやって来るのが見えた。歩いて。
ズボンは破れ、ハンカチを鼻に当て、もう片方の手で自転車を運んでいた。ハンドルバーはぐにゃりと曲がり、車輪はねじれ、ランプは壊れていた。
「ゴミ箱にぶつかった。」お父さんが言った。
翌日、マシューにそのことを話していていると、彼も自分の最初の自転車に関してもほとんど同じことが起こったと話した。
「お父さんなんて。どこでも同じだね。」マシューは言った。「みんなとても不注意で、気を付けてないと人の自転車をこわして怪我をするんだから。」/
