CROWNⅡ lesson7
クラウンⅡ lesson7
Wildness in a Bottle ─ビンの中の原野─
原野に世界は保存されている
太郎は高校生で夏のあいだ英国を訪れている。自然環境に関心を持っていたので、彼はサセックスにあるミレニアムシードバンクを訪ねている。ガイドがプロジェクトについて話す。
①
皆さんの中でジュラシックパークという映画を見たことのある人は何人いますか?科学者が恐竜を生き返らせたら何が起きるかというわくわくする映画です。恐竜はずっと長いあいだ絶滅した状態にありますが、DNAを使うことによって生き返ります。DNAとは生物を作り上げるのに必要なすべてを含んだ情報を持った分子です。DNAがあればすでに絶滅した生物を作りだせると考える科学者もいます。しかし今まで絶滅した動物を生き返らせることができた人はいません。ジュラシックパークはSFです。
もし私が絶滅した生物を生き返らせることができるなんて言ったらどう思いますか?もしこれがSFではなく科学的事実だと言ったらどう思いますか?私を信じますか?
この植物を見てください。この植物は昔絶滅したのに生き返ったのだと信じますか?ええ、本当のことなのです。
②
1922年、英国の科学者が王家の谷でエジプト王の墓を発見しましたが、そこで彼は墓自体と同じくらい古い乾燥したエンドウを発見しました。人々は死んでいると考えたでしょうが、彼はそのエンドウの種子を使って新しい植物を育てることができました。このエンドウは今では英国やアメリカ、日本を含む世界中で植えられ栽培されています。ジュラシックパークのDNAと同様に、種子は生きている植物を作り上げるのに必要な情報を含んでいます。SFは現実となります。
今日君たちが訪れているミレニアムシードバンクは、英国中、世界中の種子を集めて貯蔵することによって、将来のために植物を保存しようとしています。種子は生物を作るのに必要な情報を含んでいるので、シードバンクを利用して絶滅危惧種を救うことができます。なぜ私たちはこのプロジェクトにこれほど努力をつぎ込んでいるのでしょうか?なぜ私たちは植物を守る必要があるのでしょうか?
最も重要なことは、植物は地球上の生命の基礎だということです。植物は数千の動物や鳥、数百万の昆虫を含む、ほとんどすべての形態の生命に食物を提供しています。かなりの植物が消滅してきたので、植物に依存する世界の他の生物も姿を消してしまったに違いないのです。
③
植物を失うことによる人間の損失はずっとひどいものになるでしょう。植物は食物や燃料、建築資材を提供します。植物は本当に多くの薬の供給源です。すでに薬の25パーセントは植物から来ています。けれどもその潜在的利益を得ようと研究されてきた植物は5分の1未満です。
植物がどれほど人間社会に利益をもたらしうるか知らないうちに、しばしば植物は失われてしまうということを心に留めておかなければいけません。
万が一、原野で一つの植物が絶滅するようなことがあっても、その種子がシードバンクに保存されていれば、永遠に失われるということはないでしょう。シードバンクは植物を保存するとても効率的な方法でもあります。種子は場所をほとんど取らないし手入れもほとんど必要ないからです。シードバンクには、一つの種につき何万もの種子を貯蔵することができます。一つの都市にいる人間と同じ数の種子をたった一本のビンに保存することだってできるのです!
シードバンクに貯蔵されている種子は将来環境を回復させたり、原野の絶滅危惧種の植物の個体数を増やしたりするために使われるかもしれません。
植物は、社会の、たとえば医療や農業、工業のためになる新しい方法を見つけるため、科学的研究に使われるかもしれません。
④
ある特定の種の多様性を保護することは、さまざまな種を保護することとまったく同じくらい重要だということを強調したいと思います。どの植物もそれ自身の特徴を持っていて、それが特定の環境下でその植物に有利に働きます。特定の種に多様性があればあるほど、ますますその種が生き残る可能性は高まります。
シードバンクは地球規模の植物の消滅と闘うのに役立ちます。熱帯地方の草、英国の野原や庭の植物、一度も人の手によって変えられたことがない野生植物など、世界中のあらゆる種の植物を一箇所に保管することができます。
私たちは世界の熱帯雨林や草原、湿地帯を守ろうとしてきましたが、国立公園でさえずっと安全だという保証はありません。シードバンクは自然環境に代わることはできませんが、保存技術に保険を提供することはできます。
最後になりますが、このシードバンクプロジェクトは世界の他の地域でも一層推進されるべきものであるということを申し上げておきたいと思います。/
